年頭からド派手に宵の西空を飾り続けた金星は暁の東天に回った。春空の花道を爆走したルーリン彗星も、宇宙の彼方へ。そんな華々しい春の祭典の陰で、ひっそり地球に近づいている天体がある。それが、小惑星 8741 こと、Suzukisuzuko である。みずみずしい感性と豊かな知性で織り成された「星のふるさと」の筆者、
故・鈴木壽壽子さんにちなんで命名された小天体だ。
この天体は現在おとめ座とからす座の境界ふきんにあり、4月5日に衝を迎える。地球に最接近するのは3日後の4月8日になる(みたいだ)が、光度は17等だ。完全に私の守備範囲外である。しかし、そこが控えめな鈴木さんらしい。自分の手の届かない淡い仄かな光でありながら、夜空の片隅で燦然と輝きを放っている。小惑星 8492 Kikuoka と全く同じである。
※上はことし1年間の小惑星 Suzukisuzuko の動き。うすい四角の部分を拡大した図が下。ご交誼を頂いている
「かすてん氏」のブログからたどった軌道要素を天文シミュレーションソフト・ステラナビゲーター6に入力してみた。衝や最接近の日付はちょっと自信が無く、プラスマイナス1日ぐらいの誤差があるかも。(鈴木壽壽子さんと「星のふるさと」については、
かすてん氏のブログ、
霞ヶ浦天体観測隊・『星のふるさと』のカテゴリー に詳しい記事が掲載されています。)